プロジェクトの背景

「苗木forいわき」プロジェクトは津波により被害を受けた海岸林の再生を市民の力で応援していこう、という目的で2012年6月にスタートしました。当初のいわき市の海岸林の被害状況はそれほど大きくはなかったのですが、時間の経過とともに枯れるクロマツが増え、いまでは一帯の海岸林の7-8割が消失してしまいました。枯れるスピードの速さに困惑しながらも、多くの方々のご支援、ご協力を賜り、コツコツと整備、植林を続けてまいりました。


「苗木forいわき」プロジェクトは、みなさまとともに進めてきたプロジェクトです。人の手が頼りの整備作業や植林作業にはこれまで4,100人を超えるボランティアの方々が現地に来て一緒に汗を流してくださいました。夏の暑い中、草刈りや植林のための整地作業に一生懸命取り組んでくださっている姿、冬の寒い中、声をかけあいながら作業をしている姿、共に作業した一人ひとりの姿が目に浮かびます。


現地に行くのはなかなか難しいけれど、協力したい、応援したいという皆様もたくさんいてくださり、プロジェクトを前進させる大きな力になりました。小学校や福祉施設、職場、地域の仲間と共にクロマツの苗木を大切に育て、いわき市の海岸林に届けてくださった66団体の皆様。クロマツを大切に愛情を注ぎ育ててくださいました。それから、寄付で応援してくださった皆様にも心より感謝いたします。当初300万円を目標としてスタートしたプロジェクトでしたが、予想を超える皆様からのご支援をいただくことができまして、植林の目標本数を2回にわたり上方修正することができました。24,000本の植林に向けて引き続き取り組んでまいります。


大学生など若い人たちが何度も活動に参加してくれていることも大きな希望です。単に海岸林を再生するというだけでなく、私たちの財産である環境を自らの力で良くしていこうという姿勢や行動はこれからの社会をより良いものにするためにとても大切なことだと考えています。誰かがやってくれるだろう、ではなく、できることがあれば自分たちでやってみよう、という若い人たちが増えている手ごたえもこのプロジェクトの実施を通じて感じることができました。


「苗木forプロジェクト」は次の目標を定めながら、これからも続けていきます。
次の目標は、より地元の人たちが取り組む活動への転換です。ここまでのプロジェクトは県外からのたくさんのボランティアの方々に支えられ取り組んできました。この素晴らしい全国の協力者の皆様とこれからも一緒に活動を続けていくことに変わりはないのですが、そこにもっと地元の人たちが加わり、地域に根差した活動へ発展させていきたいと考えています。そのために運営方法を少し変更します。
これまでNPO法人トチギ環境未来基地がプロジェクトの事務局を担ってまいりましたが、2016年4月より震災後いわき市に誕生したNPO、フクシマ環境未来基地が事務局を担います。地元いわき市の大学生などにも運営に加わってもらい運営していきたいと考えています。


次の5年もこれまで植林した苗木を大きく育てるために草刈りなどの保育作業などたくさんの作業があります。20年後、いわき市でもう一度美しくて役に立つ立派な海岸林をみることができるように引き続きご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。現在の皆様の努力が、未来の誰かをきっと支えます。

震災により被害を受けた海岸林

私たちの活動